愛の激情が、秘めた愛を再び甦らせる――
その女は遥か南の町から、ひとりでバスに乗ってやってきた。彼女はやがて、北の町に降り立つ。その町に住む、ひとりの男に会うために。そして、彼との過去と向き合い、燻りつづける内なる思いに決着を着けるために。しかし、男は過去から逃れるように、故郷であるこの町に戻り、再出発の第一歩を踏み出そうとしていた。男は女の突然の出現によって再び心みだされ、また女も激情に身を震わせるが、過去の罪は今もふたりの心を苦しめる。すれ違ったままのふたりの思いは、やがてこの北の地で、静かに激情の炎となって燃え上がる……。
12年ぶりに手がけた劇場用映画『NAGISA なぎさ』(2000)がベルリン国際映画祭キンダー・フィルム・フェスト(児童映画部門)のグランプリを受賞するなど国内外で高い評価を得た鬼才、小沼勝監督。 待望の新作は、かつてサルサのダンス・パートナーであった男女を主人公に、恋のせつなさと不可思議さを北海道鹿追町の美しい自然を背景に描いたメロドラマ。恋の情熱と官能が、小沼美学というべき演出でつづられる。
官能の美学で描く小沼流メロドラマ
ロマン・ポルノの名手として、数々の作品で斬新な映像表現をみせてきた小沼監督一流の美学がこの一作に凝縮。ふいにフレーム・インする女の踝。暗闇に燈るストーブの赤い炎を背に震える、白いセーターの胸元の隆起。薄暮に舞い散る桜の花びらと闇に浮かぶ赤い唇……。映画ならでは、小沼監督ならではの官能が匂いたつ鮮烈なエロティシズム描写によって、きわめてユニークな愛のかたちがスクリーンに現出する。クライマックスに用意された官能的なサルサのダンスシーンは、祝祭的な熱気と情熱と官能と交錯する、本編の一番の見所。
戸田菜穂×遠藤憲一の新たな代表作が誕生
ヒロインに扮する戸田菜穂(『夏の庭 The Friends』『(ハル)』)は、初主演映画となる本作で、これまでの清楚でおとなしいイメージを鮮やかに裏切る役に挑み、女優として大きく飛躍。対する遠藤憲一(『金融腐食列島[呪縛]』『天国から来た男たち』)は、このところ出演作が相次ぎ、いま俳優として最も充実のときを迎えている。これまでのハードな持ち味が売りだった彼が本作では、男の無骨さと優しさが滲む好演をみせ、新たな代表作がここに誕生した。
出演:戸田菜穂 遠藤憲一/中村麻美 安村和之 宮本大誠/片桐夕子 モロ師岡 北村和夫 スタッフ:監督:小沼勝 脚本:長谷川弓子 安倍照男 村上修 撮影:鈴木耕一 照明:矢部一男 録音:福田伸 美術:山崎輝 岩本一成 編集:矢船陽介 スクリプター:小泉篤美 音楽:西岡俊明エグゼクティブプロデューサー:三井福成 プロデューサー:岡田裕 若月昇 波多野ゆかり 協力プロデューサー:大畑信政 制作:ルビイ アルゴ・ピクチャーズ株式会社 制作:鹿追映画制作委員会 後援:鹿追町
3月15日(土)より 禁断のロードショー!
特別鑑賞券¥1,300(税込)劇場窓口他絶賛発売中
(当日一般¥1,800 学生¥1,500 シニア¥1,000のところ)
ユーロスペース
渋谷駅南口下車JTBさくら通りあがる
TEL(03)3461-0211
吉祥寺バウスシアター
中央口・サンロード街・西友先左側
TEL(0422)22-3555